なぜ今、福利厚生アプリが注目されているのかこれまで、企業の制度として考えられてきた「福利厚生」ですが、福利厚生アプリは、いまや企業にとって欠かせない存在になりつつあります。その背景として以下のポイントが挙げられます。多様化する従業員ニーズかつての福利厚生制度は、社員食堂や社宅、保養所など「全従業員が共通して利用するもの」を前提としたパッケージ型が一般的でした。けれども近年は、従業員の世代やライフスタイルが大きく多様化してきているため、それに合わせた制度が必要になってきています。たとえば、若い世代はキャリアアップやメンタルヘルスなど、自身に関連する内容に関心がある一方で、ミドル世代は育児や教育費といった子どもに関わることに目を向ける傾向があります。また、シニア世代は自身の健康管理だけでなく親の介護についても気にかける人が増えてきます。このように従業員の年齢層によってニーズが多岐にわたるため、これまでのパッケージ型の制度では対応が難しくなりつつあることが分かります。その点、福利厚生アプリは、福利厚生の「個別最適化」を適用するのにとても有効なツールとして、いま注目を集めています。テレワークの普及と物理的な制約2020年以降に定着したテレワークという働き方により、従業員がオフィスに顔を合わせる機会が減った企業が増えました。そのため、それまで効果を発揮していたオフィス内で催されるイベントや対面で行う健康プログラムの開催が減り、結果として、期待していた効果が得られなくなってしまいました。このような背景から福利厚生の内容について見直しが必要となってきています。こうした時代の流れの中で「オンラインで完結する福利厚生」が注目を集めています。スマートフォン一つで利用できるアプリは、場所や時間に縛られないという特徴から、福利厚生制度の新たな選択肢としてテレワーカーにも届きやすく馴染みやすいサービスとして企業からも評価されてきています。人材を”資本”と考える経営視点からの再評価「人的資本経営」という経済産業省が提唱する経営の在り方では、人材を「資本」として位置づけ、従業員の価値を最大限に引き出すことで、中長期に渡って企業の価値を向上させることを目指す経営スタイルです。そのため、人的資本経営を採用している企業では、従業員のウェルビーイングやエンゲージメントを高めることが企業の価値を高めるための重要な要素だと考えています。その点、福利厚生アプリは、従業員の体験価値(Employee Experience:EX)を高め、利用者の満足度と生産性の向上を促すツールとして改めて評価されています。エンゲージメントの高い企業ほど離職率が低く、業績も安定しているという調査結果もあるため、福利厚生アプリのエンゲージメント強化に対する効果が期待できます。厚生労働省の調査でも、「新入社員の定着率(入社3年後)や従業員の離職率の低下は、ワーク・エンゲイジメント・スコアと正の相関があることがうかがえる」という報告があります。また、この傾向は人手不足の企業でも同様に見られることから、福利厚生アプリを導入して、従業員一人ひとりのニーズにいち早くキャッチすることが重要だといえるでしょう。出典:ワーク・エンゲイジメントと定着率・離職率について(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/19/backdata/2-3-10.html福利厚生アプリの導入のメリット福利厚生アプリの導入には次のような3つのメリットがあります。定着率を高める福利厚生アプリは、従業員一人ひとりに合わせたサービスの提供が可能なため、「自分にピッタリな支援が受けられる」という実感を感じてもらいやすいでしょう。これにより、従業員の企業への愛着や帰属意識を高め、「この会社で働いていてよかった」という意識が高まり、定着率の向上が期待できます。従業員満足度の向上従業員の満足度調査では、柔軟で選択肢が豊富な福利厚生を導入している企業ほど、スコアが高い傾向があります。健康やキャリア、ライフサポートなど、さまざまなメニューがまとまっているアプリは、従業員が自身の関心や状況に合わせて利用することができるため、満足度の向上につながるでしょう。運用負担の軽減従来の紙ベースの申請や、総務部門の手作業による管理に比べて、福利厚生アプリはデジタル化により運用効率の向上が期待できます。管理画面で利用状況をモニタリングしたり、データ分析も可能なため、人事担当者の負担が軽減されるというメリットがあります。採用差別化が有利になる経済産業省の「健康経営の推進(平成29年5月)」によると、就活生が就職先を選ぶ上で最も重視しているのは「福利厚生の充実度」、次いで「従業員の健康や働き方への配慮」であることが明らかになりました。また、就活生の7割が就職先について「親の意見を参考にする」と回答しましたが、就活生の親も「従業員の健康や働き方への配慮」を就職先を選ぶ上で最も重要な要素に挙げました。このように、企業の福利厚生や健康経営への姿勢が採用の現場でも差別化を図れるポイントとなります。福利厚生アプリ導入時に押さえておきたいポイント福利厚生アプリの導入には多くのメリットがありますが、より効果的に活用するためには、いくつかのポイントを事前に把握しておくことが大切です。投資効果を見極める目線が必要アプリを導入するには初期費用や月額利用料が発生します。とくに中小企業にとっては、そのコストが気になるところかも知れません。しかし、福利厚生アプリの導入により「従業員の満足度向上 → 定着率の改善 → 採用力強化」という好循環が生まれれば、コストを上回る価値が得られる可能性は十分にあります。YuLifeのように、利用率が高くエンゲージメントにも直結する設計であれば、効果を実感しやすいのも特長です。公平性の確保や多様なニーズへの対応が重要多機能なアプリであっても、すべての従業員のニーズを完璧に満たすことは容易ではありません。例えば、スマートフォンの操作に慣れていない従業員や、特定の機能にあまり興味を示さない従業員もいるでしょう。実際、福利厚生担当者が課題として挙げているのは、「多様なニーズへの対応」「公平性の確保」「コストの最適化」などです。だからこそ、アプリ導入時には、自社の従業員層や企業文化に合ったサービスを選ぶことが重要です。そのうえで、全員が使いやすい導入サポートや継続的なフォロー体制を整えることで、幅広い世代・属性の従業員にとって価値ある福利厚生ツールへと育てていくことが可能になります。福利厚生アプリの主なタイプと機能タイプ1:健康・ウェルビーイング支援型健康診断の結果を管理したり、歩数計と連動してポイントを付与したり、またストレスチェックや睡眠を記録したりなど、健康維持を目的とした機能のあるアプリです。例:FiNC for BUSINESS、CARADA、YuLifeYuLifeは、健康習慣(ウォーキング、脳トレ、マインドフルネスなど)をゲーム感覚でポイント化し、商品と交換できるユニークな設計が注目されています。健康アプリについてより詳しく知りたい方はこちらタイプ2:ライフサポート・マルチサービス型家事代行や育児・介護相談、レジャー施設割引、メンタルヘルス相談窓口など、日常生活や家庭で必要なサポート機能が利用できるアプリです。例:リロクラブ全国の施設利用やチケット割引をスマートフォンで検索したり請したりできるため、従業員の日常を直接サポートするサービスとして利用されています。タイプ3:金融・キャリア支援型確定拠出年金の運用状況を見える化し、資産運用のアドバイスやキャリアプランニング、学習サポートなど、将来に備えるための機能が利用できます。リスキリング支援との連携が進んでいるアプリもあり、UdemyやSchooなどのオンライン学習アプリとのコラボレーションも増えています。アプリの共通点:個人のスマホで利用可能、データ活用が容易アプリはスマートフォンからいつでもどこでもアクセスできる設計で、手軽に利用できるのが大きな魅力です。さらに、利用状況や満足度をデータとして収集できるため、企業はPDCAサイクルをスムーズに回すことができます。導入企業の活用事例とその効果事例1:洛陽化成株式会社洛陽化成株式会社はプラスチック製品の製造を行う企業で、「健康に努めよう」という会社の理念を背景に福利厚生アプリの導入を決定しました。アプリは運動の成果をポイントで見える化することで、従業員の健康意識とモチベーションをあげていきます。導入当初は、高齢の従業員から操作への不安の声もありましたが、若手従業員がサポートしたことで、幅広い世代にアプリのメリットが浸透しています。さらに、ハローワークにアプリの利用や健康経営®*の取り組みを掲載した結果、面接の応募数の増加にもつながりました。福利厚生アプリは採用活動にも貢献しています。★「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。事例2:株式会社YUZURIHA株式会社YUZURIHAは、大手企業からの受託開発やWebシステム開発等を手がけています。従業員一人ひとりに平等に価値を届け、その成果を目に見える形にできるということで、「従業員ファースト」を実現するツールとして福利厚生アプリを導入しました。同社ではもともと食事販売サービスを福利厚生として導入していましたが、外食派の従業員には利用されにくかったり、管理コストが負担になったりする課題がありました。一方、福利厚生アプリは個々のニーズに応え、食事の補助だけでなく書籍購入にも利用できるため、高い利用率を維持しています。事例3:Grow株式会社Grow株式会社は、 従業員の健康意識を高めるためにYuLifeを導入しました。特にフルリモート勤務下でも、共通のアクティビティを通じてつながりを実感できる点が好評です。また、ウォーキングやマインドフルネスなどでリワードを獲得できる仕組みを活用し、従業員のモチベーション向上とチームの結束を強めるのに役立っています。導入時に企業が押さえるべきポイントポイント1:利用者視点のUI/UX設計アプリ導入の成功を左右するのは「使いやすさ」です。たとえば、直感的に操作できる設計やシンプルなナビゲーション、サウマートフォンに最適化されたユーザーインターフェースなど、使い勝手を高める工夫がそのまま利用率の向上につながります。ポイント2:個人情報・データの管理と透明性健康情報や利用履歴などの個人情報を取り扱う上で、セキュリティやプライバシーポリシーを明示することは避けられません。アプリを導入する際は、利用規約を提示したり、従業員への説明会を実施したりするなどを通じて、従業員との信頼構築に努めることが重要です。ポイント3:アプリ導入後の社内プロモーションどんなに高機能なアプリでも、従業員が「知らない・使わない」状態にならないような取り組みが大切です。社内キャンペーンや利用インセンティブ(ポイントやギフト等)を設定したり、人事や管理職が積極的にアプリを使いこなし、周りを巻き込むアクションが必要です。まとめ:アプリを通じて“自分らしい働き方”を支える福利厚生アプリは、単なる便利ツールを超え、従業員一人ひとりの「働くこと・生きること」を支える大切な接点です。エンゲージメントの向上や定着率の改善、生産性のアップという好循環を生み出す投資といえるでしょう。これからの福利厚生は「画一的制度」から「選択型・パーソナライズ型」へと進化します。そして、その核となるのが、福利厚生アプリの活用です。アプリを上手に取り入れて、従業員の多様なニーズに柔軟に応えられる組織づくりを進めていきましょう。YuLifeのサービス概要はこちらYuLife導入事例集はこちら