なぜ今「健康経営」なのか健康経営の定義と注目される背景「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営戦略の一つとして捉え、企業価値の向上につなげていく取り組みのことです。アメリカの経営学者、ロバート・ローゼン氏が提唱した考えをもとに、日本でも経済産業省が中心となって広がりを見せています。中でも注目されているのが、経済産業省と日本健康会議による「健康経営優良法人認定制度」です。たとえば、一定の基準を満たした企業が「ホワイト500」や「ブライト500」として認定され、社外からの評価や企業イメージの向上につながっています。就活生の間では「ホワイト企業」志向が高まっており、「ホワイト500」のロゴは採用活動でも強力なアピールポイントに。さらに、「ESG投資(環境・社会・ガバナンス)」を重視する投資家からの評価にもつながるなど、さまざまな面で注目が集まっています。従業員の健康と企業パフォーマンスの相関性健康経営は、単なる福利厚生の制度のひとつではありません。近年の研究では、従業員の健康が生産性や定着率、さらに、医療費の負担にも深く関係していることが明らかになってきています。たとえば、2024年に順天堂大学医学部と複数の組織が行った共同研究によると、日本企業の職場では、睡眠により十分に休養が取れている人の割合が1%増加すると、離職率とメンタルヘルスに関連する欠勤率が明らかに減少することがわかりました。さらに、定期的な運動をする習慣のある人の割合が1%増加すると、メンタルヘルスに関連する欠勤率が有意に減少するということが報告されました。また、慶應義塾大学商学部の山本勲教授らによる研究でも、生活習慣病に由来する医療費が1人当たり1万円減少すると、翌年の労働生産性が1.9%上昇する可能性が示されています。さらに、メンタルヘルスに関連する医療費が1,000円減少すると、その年の利益率が0.008%ポイント、さらには翌年の利益率が0.013%ポイント上昇する傾向があることが分かりました。実際、健康経営支援サービスである「YuLife」は、世界で1,000社以上、累計100万人以上に活用されていますが、離職率は5%低下、投資対効果(ROI)は181%、生産性UPを実感したという人は85%というデータもあります。健康経営支援サービスの導入が「戦略的投資」として注目されている理由人的資本が企業にとって重要であるという考え方が広まる中で、健康経営支援サービス導入は「コスト」ではなく「未来への投資」として捉えられています。企業にとって最大の経営資源である「人」。その活力を高めることこそが、イノベーションを生み出し、他社にはない強みにつながっていくのです。健康経営支援サービスの主な種類ひとくちに健康経営支援サービスといっても、実はその内容はさまざまです。目的やサポート内容によって、いくつかのタイプに分けることができます。ここでは健康経営支援サービスを5つのタイプに分けて、分かりやすくご紹介します。健康診断・ストレスチェック支援サービス健康診断・ストレスチェックの「その後」を支えるクラウド型サービス。健康診断やストレスチェックは、法律で企業に実施が義務付けられている重要な健康施策です。しかし実際には、「受診率の管理が難しい」「結果をうまく活用できない」といった課題を抱えている企業も少なくありません。こうした課題を解決する手段として、健康管理の効率化を支援するクラウド型サービスに注目が集まっています。たとえば、以下のような機能が活用されています。健診予約や結果の回収を自動化高リスク者の自動抽出による早期対応産業医とのスムーズな情報共有保健指導や再検査のフォローアップを一元管理これらのサービスを導入することで、健康診断やストレスチェックが「実施するだけ」の形式的な取り組みではなく、実際に効果のある健康経営の土台として活用されるようになります。従業員向け健康アプリ・ウェアラブル連携型サービス「楽しみながら健康に」行動変容を促す仕組みづくり。従業員の健康を支えるには、日々の小さな習慣づけが何より大切です。とはいえ、無理なく続けてもらうためには「楽しく」「気軽に」取り組める工夫が欠かせません。そこで近年注目されているのが、健康アプリやウェアラブル端末と連携した健康経営支援サービスです。従業員の健康行動を自然に後押ししてくれるような、さまざまな機能が備わっています。ウォーキングや睡眠のトラッキング食生活の改善をサポートする栄養アドバイスミニゲーム感覚で楽しめる運動コンテンツチーム対抗のウォーキングイベントなど、職場の一体感を高める施策こうした仕掛けにより、従業員が「楽しみながら健康になる」ことができ、健康施策への参加率UPにもつながります。オンライン産業保健支援サービス特に中小企業や地方の事務所では、常駐の産業医を確保するのが難しいという声も少なくありません。そんな課題を解決する手段として、オンラインでの産業保健支援サービスが注目されています。たとえば、以下のような支援が必要なタイミング・ボリュームに応じて受けられます。月1回から始められる遠隔での産業医面談メールやチャットを活用した日常的な相談対応ストレスチェック後のフォローアップや高ストレス者の面談対応定額制やスポット対応など柔軟な契約が可能なため、企業の規模や課題に応じて導入しやすいのが特長です。リソースが限られる中小企業でも、無理なく実効性のある産業保健体制を整えることができます。メンタルヘルス支援サービスメンタルの不調によって、従業員が休職や離職に至ることは、企業にとって大きなリスクとなります。そこで重要になるのが、早期の気づきと継続的なサポート体制です。現在では、EAP(Employee Assistance Program、従業員支援プログラム)をはじめとするメンタルヘルス支援の選択肢が広がっており、次のようなサービスが導入されています。外部カウンセラーによる24時間対応の相談窓口AIチャットボットを活用した簡易セルフチェックとケアの案内管理職向けのメンタルヘルス対応研修このような支援体制を整えることで、従業員が安心して働ける「心理的安全性」の高い職場づくりにつながります。メンタル面への配慮も、健康経営を成功させるための欠かせない視点です。健康経営コンサルティング・KPI設計支援サービス健康経営の本質は、「制度をつくること」ではなく、その取り組みを継続し、より良い形に育てていくことにあります。とはいえ、何から手をつければいいのか分からない…という企業も少なくありません。そんな時に頼りになるのが、健康経営専門のコンサルティングサービスです。以下のようなサポートを通じて、健康経営の推進をしっかりと後押ししてくれます。既存制度の棚卸しと課題分析運動率やストレス指標など、KPI(重要業績評価指標)の設計支援社内向け説明資料や経営層向け報告書の作成代行健康経営優良法人認定(ホワイト500など)の取得サポート初めて取り組む企業にとっても、計画の立て方から書類作成、申請までを一貫して支援してくれる存在は、非常に心強いものとなるでしょう。自社ニーズに適合したサービスを選ぶ多くの健康経営支援サービスは、これまでご紹介した5つのタイプ(制度支援、行動促進、産業保健、メンタルケア、コンサルティング)を組み合わせて提供されています。そのため、まずは自社が抱える課題や優先すべきテーマを整理し、必要な機能を見極めて選ぶことが大切です。目的に合ったサービスを選ぶことで、無理なく・効果的に健康経営を推進していくことができます。健康経営支援サービスを選ぶときの「比較ポイント」と「判断基準」健康経営支援サービスにはさまざまな種類があり、提供内容やサポート体制も企業によって異なります。そのため、「なんとなく良さそう」で選んでしまうと、導入後に「自社に合わなかった…」というミスマッチが起こることもあり得ます。ここでは、健康経営支援サービスを比較・検討する際に押さえておきたい判断基準や選定ポイントについて、分かりやすく整理していきます。自社課題とのマッチング度企業の抱える健康課題は業種や職種、従業員の構成によって異なります。業種ごとの「健康リスクの特徴」だけでなく、「健診未受診者の割合」や「ストレスチェック結果の傾向」、「勤怠データと健康状態の関連」などのデータを元に、自社の抱える課題や求めている機能などに合った健康経営支援サービスを選びましょう。対象従業員の利用率・参加率を高める仕組みサービスを導入した後にカギとなってくるのは、従業員にサービスが「使われること」です。UX設計やインセンティブを工夫することによって、従業員の利用率は大きく変わります。次のような機能や仕組みを取り入れることで従業員の利用率UPが期待できるでしょう。ゲーム感覚で取り組める機能健康ポイントを「社内通貨」として活用管理職の健康行動をロールモデル化管理部門の運用負荷健康経営の取り組みは、人事や総務など管理部門が中心となって進めるケースが多くなります。しかし、すべてを手作業で管理していては、日々の業務に大きな負担がかかってしまいます。そこで重要になるのが、運用をサポートしてくれるツールや機能の充実度です。以下のポイントをチェックしておくと安心です。自動レポート出力機能管理画面の視認性チャット・電話サポートの有無業務効率を高めながら、無理なく継続できる体制を整えることが、健康経営成功のカギとなります。料金体系と費用対効果サービスの料金体系はさまざまあり、月額定額制、従量課金、成果連動型などがあります。費用負担を抑えるための一つの方法として、補助金(例:厚労省の「ストレスチェック実施促進事業」)と併用することも視野に入れましょう。データ活用の柔軟性とセキュリティ対応健康経営では、健康診断結果やストレスチェックなど、従業員のセンシティブな情報を多く扱うことになります。そのため、セキュリティ対策は必須です。同時に、集めたデータを社内の改善にどう活かすかという視点も欠かせません。以下のポイントをチェックすることで、安全性と活用性の両立が図れます。ISO27001やISMS認証の有無BIツールとのAPI連携可否社内レポートへの転用のしやすさ健康経営優良法人取得への貢献度健康経営優良法人(ホワイト500・ブライト500など)の取得を視野に入れている場合、認定基準に沿った支援実績のあるサービスを選ぶことで、準備や申請がぐっとスムーズになります。たとえば、以下のような制度項目への対応経験が豊富なサービスは、特に心強い存在です。運動習慣の定着を支援する取り組み職場環境や人間関係の改善施策健診・ストレスチェックの受診率向上サポートKPI設計や報告書作成支援によるエビデンスの整理自社に合ったサービスを選ぶステップステップ①:健康経営における自社の現状を把握する自社に合ったサービスを選ぶ最初のステップは、従業員の健康状態についての現状把握です。健康経営の目的は「従業員の健康改善」ですが、何が問題なのかがわからないままでは、状況を改善するための適切な行動には結びつきません。具体的には、以下のようなデータを確認し把握することが有効です。健康診断の未受診率ストレスチェックの高ストレス者の比率長時間労働者の割合運動不足や生活習慣病リスクメンタルヘルスによる休職者数また、従業員の年齢構成や部門ごとの特性、通勤手段、周辺の運動施設の有無などといった勤務地の環境要因についても認識しておくと、より効果的な分析が可能になります。ステップ②:関係者との認識共有と合意獲得健康経営の施策を導入し、運用を成功させるには、企業内の関係者と認識を共有したり、合意を得たりすることが欠かせません。特に、次にあげる関係者の理解と協力を得ることが健康経営の成功には外せません。経営層:戦略的投資としての認識を持ってもらう産業医・保健スタッフ:施策の医療的観点からの妥当性チェック人事部門:実行体制とデータ管理の体制構築労働組合や従業員代表:現場の声を反映し、納得感ある施策とする関係者との合意を進めるには、他社の事例や導入効果のシミュレーション、健康経営銘柄やホワイト500認定との関係性などについてを説明したわかりやすい資料を用意することが成功のカギとなります。ステップ③:小規模トライアルサービスの導入をいきなり企業全体で実施すると、想定外の混乱や反発が生じる可能性があります。そのようなつまずきを生まないためにも、まずは一部の部署や事業所、エリア単位での小規模なところから導入していくことをおすすめします。トライアル期間中に見ておきたいポイントは以下の通りです。利用率(例:アプリのログイン頻度)ユーザーからの満足度やフィードバック現場管理職の支援体制ITサポートやヘルプデスクの対応状況このフェーズでの成功体験が社内にポジティブなムードを生み、全社導入のタイミングでも受け入れられやすい雰囲気を作ることができるでしょう。ステップ④:KPI設計と効果測定体制の構築導入サービスの「成果」を評価するには、あらかじめ明確なKPI(重要業績評価指標)を設計し、測定体制を整えておきましょう。意味のある効果測定のためには、設計したKPIがサービスの目的としっかり結びついていることが重要なポイントとなります。たとえば以下のようなKPIが考えられます。ログイン率/継続利用率(健康アプリなど)歩数増加率(ウェアラブル端末活用時)ストレスチェックの改善傾向医療費削減率健康診断受診率の向上健康年齢スコアの改善また、導入したサービスベンダーに、効果を確認するためのレポートやダッシュボードの提供をお願いしてみるのもひとつの方法です。ステップ⑤:認定取得への活用健康経営の取り組みを社外にアピールする方法として、「ホワイト500」や「ブライト500」といった認定制度を取得することが挙げられます。認定制度の取得は形だけの表彰ではなく、採用活動での強いブランディングや取引先に対しての信頼性の向上にもつながる大きな戦略的価値を持ちます。企業向けおすすめ健康アプリTOP5はこちら健康経営をより効果的に進めるために──導入後のポイントと工夫サービスを“使われる”仕組みに──活用を促すコツとは?健康経営支援サービスを導入しても、従業員の利用率がなかなか上がらないことが大きな課題のひとつです。特に健康アプリやウェアラブルデバイスなどは、「存在は知っているけれど、実際には使っていない」というケースが少なくありません。利用率が低い原因として多いのは、従業員に「何のために使うのか」が伝わっていないこと。こうした状況を避けるためには、以下のような工夫が効果的です。トップメッセージとして健康経営の意義を社内発信社内報やイントラネットでの事例紹介部署単位での利用キャンペーン、インセンティブ提供現場のキーマン(健康推進リーダー)の育成取り組みを継続的な価値につなげるには?健康経営支援サービスは導入して終わりではありません。一度取り組んだだけで満足してしまうと、単発の施策で終わってしまい、継続的な利用や従業員の健康改善にはつながりにくくなります。健康経営を企業に根付かせ、持続可能な取り組みにしていくためには、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を仕組みとして定着させることが大切です。このサイクルを回し続けることで、健康経営が一時的な取り組みではなく、企業文化として育っていきます。サービス同士をつなげて、相乗効果を高めるには?せっかく複数の健康系サービスを導入し、積極的に健康経営に取り組んでいる企業でも、データがバラバラに管理されているために、データを活用しきれないという問題も聞きます。たとえば、健康診断データとストレスチェック結果が別々のシステムに保存されているケースなどです。サービス間のデータを統合し、ひとつの健康管理ダッシュボードを構築することで、以下のような相乗効果が期待できます。各サービスのAPI連携を活用し、1つの画面で可視化部署別・属性別に健康課題を横断的に分析産業医や保健師との共有ツールとして活用このように、複数のサービスを連携・統合して運用することで、より戦略的で実効性の高い健康施策を提案できるようになります。まとめ:成長を支える“投資”としての健康経営健康経営は「従業員の健康のため」だけの取り組みではなく、企業がこれからも成長し続けるための大切な投資でもあります。人材不足が深刻化するいまこそ、あらためて「健康」という視点から、自社のあり方を見つめ直すチャンスです。健康経営に取り組む企業の多くは、「続けること」と「対話すること」を大切にしています。まずは、自社の課題に目を向けることから始めましょう。そして、できることから少しずつ、一歩ずつあなたの会社らしい健康経営を進めてみてはいかがでしょうか。※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。YuLifeのサービス概要はこちらYuLifeの導入事例集はこちら