従業員の働きがいとは従業員の働きがいは、従業員が自分の意思で仕事に前向きに取り組める状態を指します。世界約150カ国で「働きがいのある会社」の調査・認定を行うGreat Place To Work Institute Japanによると、働きがいは「やりがい」と「働きやすさ」の両方が兼ね備わった状態と定義しています。従業員の働きがいが注目される背景近年、従業員の働きがいが注目される背景には、いくつかの要因があります。まず、一つは少子高齢化による労働人口の減少です。優秀な人材の確保がより困難になる中で、従業員に長く活躍し続けてもらうことは企業の持続的成長に直結します。次に、価値観の多様化も要因の一つです。とりわけZ世代と呼ばれる若い世代は、給与や安定性だけでなく、仕事の意義や自己成長、職場のコミュニティに高い価値を置く傾向があります。そのため、画一的な働き方よりも、一人ひとりの価値観に応じた働きがいが求められています。従業員の働きがいを構成する要素Great Place To Work Institute Japanの調査モデルでは、働きがいを「信用」「尊重」「公正」「誇り」「連帯感」という5つの要素で測定しています。以下では各要素の意味を解説します。経営層・マネジメントへの信用信用とは、従業員が経営層や管理職を信頼できているかどうかを指します。トップやマネジメント層の言動・判断・コミュニケーションの一貫性や誠実さが、組織全体の心理的安全性の基盤をつくります。この信用が醸成された組織では、従業員が自律的に行動し、挑戦や提案を行いやすくなります。個人を大切にする尊重の文化尊重とは、従業員一人ひとりが個人として大切にされているという実感です。上司が部下の意見に耳を傾けること、プライベートや個人の事情が配慮されること、成長のための機会が与えられることなどが具体的な要素として挙げられます。尊重される環境は、従業員の心理的な安全感を高め、主体的な関与を引き出します。評価・処遇の公正さ公正とは、給与・昇進・業務配分といった処遇が、納得感のある基準で行われているかどうかです。「頑張っても評価されない」や「成果と報酬が結びつかない」と感じた瞬間、従業員のモチベーションは急速に低下します。評価の基準を透明化し、フィードバックを丁寧に行うことが、公正さの実感につながります。仕事や会社への誇り誇りとは、自分の仕事や所属する組織に対してポジティブな感情を持てているかどうかです。自分の仕事が社会や顧客に貢献していると実感できること、会社の取り組みや価値観に共感できることが、誇りを生み出します。この誇りが、日常の業務における創意工夫や高い質へのこだわりとして表れてきます。仲間との連帯感連帯感とは、職場の仲間と良好な関係を築き、チームとしての一体感を感じられる状態です。Great Place To Work Institute Japanの分析によると、やりがいの要素の中でも、連帯感と誇りの水準が高い職場は業績の伸び率が高く、連帯感が働きがいのある組織づくりに果たす役割の大きさが示されています。従業員の働きがいを高めるメリット従業員の働きがいを高めることは、企業経営において非常に大きな価値を持ちます。エンゲージメントが高い組織では、従業員が自社の目標や方針に共感し、主体的に行動するようになります。その結果、業務効率の向上や離職率の低下、顧客満足度の向上など、さまざまな好循環が生まれます。次に、従業員の働きがいを高めるメリットを詳しく見ていきましょう。従業員のモチベーション向上従業員エンゲージメントが高まると、仕事に対するモチベーションの向上につながります。自分の業務が会社の成長や社会への貢献につながっていると実感できるため、責任感が強まりやすいです。その結果、与えられた業務だけでなく、自発的に改善提案や新しい取り組みに挑戦する姿勢が生まれます。また、上司や同僚からの信頼を感じられる環境では、心理的な安心感も高まりやすくなります。このような状態が維持されることで、長期的に高い成果を生み出す基盤となる点は大きなメリットです。労働の生産性向上エンゲージメントの向上は、労働生産性の改善にも直結します。意欲の高い従業員は業務への集中力が高く、無駄な作業や手戻りも少なくなります。その結果として、業務スピードや品質の向上が期待できるほか、チーム内の連携が円滑になることで、情報共有や意思決定もスムーズになります。労働の生産性向上により、残業時間の削減や業務負担の平準化につながることもメリットであるといえるでしょう。人材の定着率向上従業員エンゲージメントが高い職場では、離職率が低下します。従業員が職場に安心感や将来性を感じているため、長く働きたいと考えるようになるためです。とくに若手社員にとっては、成長実感や評価への納得感が重要な判断材料となります。エンゲージメント施策を通じて、早期離職の防止につなげるとともに、採用や教育にかかるコストの削減にも貢献可能です。従業員の定着率を高めるには?平均的な定着率と離職を防ぐ施策について企業価値の向上従業員エンゲージメントが高い企業は、働きやすい企業として認知されることで、ブランド価値の向上につながります。投資家や取引先をはじめ、第三者からの評価にも好影響を与えるでしょう。また、近年では人的資本経営の観点からも、従業員への投資姿勢が重視されており、中長期視点での経営戦略として位置付けられています。採用力の強化エンゲージメントが高い企業は、採用活動においても大きな優位性を持ちます。現職社員の満足度が高いほど、口コミや評判が良好になりやすく、求職者から選ばれやすくなります。また、採用サイトやSNSでの情報発信にも説得力が生まれます。人材獲得競争が激化する中で、企業の魅力を高める重要な要素となるでしょう。従業員の働きがいを高める方法前述のとおり、従業員の働きがいを高めるには、やりがいと働きやすさの両面からアプローチすることが重要です。以下では、GPTWが挙げる5つの要素を踏まえ、具体的な施策について紹介します。企業理念・ビジョンを浸透させる従業員が「何のために働いているのか」を理解するうえでは、トップが自分の言葉で理念を語り、事業の意義を繰り返し伝え続けることが重要です。採用時の理念共有から、入社後の定期的なミーティング、1on1での対話まで、あらゆる接点を通じてビジョンを浸透させる仕組みをつくりましょう。理念やビジョンの共有によって、従業員の共感を生むことができれば、自然と働きがいを高めることにもつながります。公正で納得感のある評価制度を整える評価基準を明文化し、上司による主観的な判断ではなく、透明性のある指標で評価される仕組みをつくることもポイントです。自己評価と他者評価に乖離がある状態だと、なぜ頑張っているのに評価されないのかといったネガティブな感情に陥りやすくなります。明確な評価基準をもとに、行動や成果に対して適切に評価される仕組みがあることは、従業員にとってもやるべきことがクリアで、理想的な状態といえるでしょう。従業員の自律性・成長機会を提供する社内外における学習機会、一定の裁量などを与えることは、従業員のやりがいと誇りを育みます。成長の実感はやりがいに大きく影響する要素の一つであり、エンゲージメントの向上にもつながります。自律的なキャリア形成を支援する手段としては、副業・兼業の容認やジョブローテーションの整備なども効果的です。心理的安全性の高い職場環境をつくる自分の意見や懸念を自由に発言できる環境があるかどうかは、連帯感と信用の両方に直結します。具体的には、管理職向けの傾聴力・コーチング研修の実施、意見を出しやすい会議の設計など、発言しやすい雰囲気を組織として意図的につくるとよいでしょう。感謝・承認が生まれる仕組みを導入する上司や同僚から感謝される体験は、自身の仕事へのやりがいに直結します。ピアボーナスやサンクスカード制度の導入、マネジャーによる承認コメントの習慣化など、日々の業務に対する感謝・承認を受ける機会をつくることで、従業員の働きがいを高められるでしょう。福利厚生・健康施策で働きやすさを高める有給取得率の改善、フレックスや在宅勤務制度の整備など、働きやすさに関わる制度を整えることは、働きがいの土台をつくります。とくに従業員の身体的・精神的な健康をサポートするウェルビーイング施策は、プレゼンティズムの解消や職場環境の改善を通じて、やりがいを感じやすい状態をつくることに貢献します。定期的なサーベイで働きがいを可視化するさまざまな施策に取り組む中で、実際に従業員の働きがいが変化しているかを測るサーベイの実施が欠かせません。満足度調査やエンゲージメントサーベイを活用し、働きがいを決める要素に沿った設問を設けることで、組織のどの部分に課題があるかを定量的に把握できます。また、定期的にサーベイを実施するだけでなく、結果を通じて課題や仮説を明確にし、次の施策立案に反映させることが非常に重要です。従業員エンゲージメント向上に成功した企業事例従業員エンゲージメント向上に成功している企業には、共通した特徴があります。それは、経営層が主体となって施策を推進している点です。以下では、業界別に代表的な企業事例を紹介します。【建設】株式会社小松製作所株式会社小松製作所では、従業員エンゲージメント向上の中心施策として、マネージャー層の育成強化に取り組んできました。経営層と現場をつなぐ管理職が、従業員の意識や行動に最も大きな影響を与える存在であると考えたためです。同社では、信頼関係の構築や部下のモチベーション管理、変化対応力、チーム運営、権限委譲などをテーマとした研修を実施し、管理職のマネジメント力と意識改革を同時に進めています。その結果、エンゲージメント指数は33%から70%へと大きく改善したほか、半年間で工場の生産性が約9%向上するなど、業績面でも成果が表れています。【飲食】スターバックスコーヒージャパン株式会社スターバックスコーヒージャパン株式会社は、従業員エンゲージメントを重視した独自の経営スタイルで知られています。米国本社では学士号取得を支援する制度を導入しており、日本でも通信教育費の補助などを通じて、従業員の自己成長を後押ししています。さらに特徴的なのは、チェーン展開を行う飲食業でありながら、厳格なマニュアル管理に依存していない点です。スタッフを「パートナー」と呼び、理念への共感を軸に行動を促しています。【メーカー】株式会社LIXIL株式会社LIXILでは、従業員エンゲージメント向上の軸として、従業員エクスペリエンスの強化に取り組んでいます。従業員エクスペリエンスとは、社員が組織内で経験するあらゆる体験や感情の積み重ねを指します。その具体策として展開しているのが「Employee Listening」戦略です。従業員の声を継続的に収集・分析する仕組みを整備し、意識調査を刷新しました。さらに、新ツール「LIXIL Voice」を導入し、全社調査だけでなく特定層への深掘り調査も実施しています。【IT】Google合同会社Google合同会社では、従業員エンゲージメントを高めるために、働く環境そのものの設計に力を入れています。オフィス内には各フロアに簡易キッチンや共有スペースが設けられており、飲み物や軽食が自由に利用できるようにしています。こうした空間設計は、偶発的な会話や情報交換を促進し、組織内のつながりを強化します。日常的に対話しやすい環境を整えることが、エンゲージメント向上につながっています。さらに、採用においては独自の企業文化である「グーグリー」を重視し、価値観への共感度を重要な判断基準としていることも特徴です。従業員の働きがいを高めるうえでの注意点従業員の働きがいを高めるうえでは、いくつかの注意点も存在します。よくある失敗パターンをを知り、陥りがちな落とし穴と回避のポイントを把握しておきましょう。「やりがい」と「働きやすさ」の片方だけに偏らないGreat Place To Work Institute Japanでは、働きやすさだけが高い職場を「ぬるま湯職場」、やりがいだけが高い職場を「ばりばり職場」と定義しています。いずれもやりがいと働きやすさを両立している企業に比べ、業績の伸び率が低いことが示されており、バランスの重要性が説かれています。どちらか一方に偏ることなく、それぞれにアプローチできる施策を設計することを意識しましょう。従業員の主観的な実感を重視する働きがいは、従業員の主観的な実感によって左右されます。たとえば、会社として評価制度を整えても、従業員自身が納得感のない評価制度であれば意味がありません。そのため、定期的なサーベイや1on1面談を通じて、従業員の本音を引き出し、制度の運用実態と主観的な実感のギャップを把握し続けることが重要です。単発の施策ではなく組織文化として根付かせる働きがいを高める取り組みは、イベントの実施や制度の導入といった単発の施策では定着しません。理念の浸透、評価の一貫性、日常的な承認の積み重ねなど、継続的に行われてはじめて文化として根付くものです。しっかりと時間をかけて、組織文化として定着させられるよう、各種施策に取り組んでいくことが大切です。従業員の定着を目指すならYuLifeアプリYuLifeアプリは、日々の健康行動の記録や、従業員どうしのコミュニケーションを、スマホ上で実現できる仕組みが特徴です。従業員はアプリをインストールするだけで手軽に利用できるため、企業や同僚との接点を日常の中に自然に定着させられます。結果として、エンゲージメントの強化や働きがいの醸成につながり、離職防止や組織への定着率向上にも寄与します。実際に活用され、従業員との関係性を深める福利厚生を実現したい企業にとって、有効な選択肢の一つといえるでしょう。従業員定着につながる福利厚生の導入をご検討の担当者様は、ぜひ下記よりお問い合わせください。YuLifeのサービス概要はこちらYuLife導入事例集はこちら