健康経営戦略マップとは健康経営戦略マップの定義健康経営戦略マップとは、自社が解決したい経営課題と、そこに至るまでの健康投資の因果関係を一枚のシートに整理した設計図です。「なぜこの施策を行うのか」や「どの指標を達成すれば経営課題の解決につながるのか」を可視化することで、社内外の関係者が健康経営の全体像を共通認識として持てるようになります。作成すること自体が目的ではなく、施策の優先順位づけや効果検証の土台として機能することに意義があります。健康投資管理会計ガイドラインとの関係健康経営戦略マップは、経済産業省が策定した「健康投資管理会計ガイドライン」のフレームワークに基づいて作成されます。同ガイドラインは、健康経営の取り組みを「投資」と捉え、その費用対効果を客観的に測定・伝達する仕組みを整えることを目的としています。戦略マップは、その中でPDCAサイクルにおける計画段階の役割を担うドキュメントであり、健康投資シート・健康投資効果シート・健康資源シートと合わせて活用することで、健康経営の全体的な管理体制が整います。健康経営優良法人認定要件における位置付け健康経営優良法人認定の評価項目には、「健康経営で解決したい経営上の課題に対して、期待する効果や取り組みのつながりを整理しているか」という設問が含まれており、戦略マップの作成はその対応策として直接的に機能します。特にホワイト500を狙う大規模法人にとっては、経営戦略と健康施策の因果関係を明文化できているかどうかが評価の分岐点になるため、戦略マップの整備は実務的な必須対応といえるでしょう。健康経営戦略マップの構成要素健康経営戦略マップには大きく5つの構成要素が存在します。以下では、それぞれの要素について詳しく解説します。解決したい経営課題戦略マップの出発点となるのが、自社が健康経営を通じて解決したい経営課題です。生産性の向上、人材の採用・定着力の強化、医療費・休職コストの削減など、中長期的な経営目標と紐づけて定義します。この経営課題の定義が曖昧だと、その後の目標設定や施策選択がすべてぼやけてしまうため、経営層を交えて言語化することが重要です。最終目標指標(KGI)経営課題の解決を、健康面から測定するための最終指標がKGIです。プレゼンティズム(健康問題を抱えながら出社し、本来のパフォーマンスを発揮できていない状態)の改善率、アブセンティズム(健康起因の欠勤・休職率)の低減、ワーク・エンゲージメントスコアの向上などがKGIとして設定される代表的な指標です。定量的・測定可能な形で設定し、目標達成年度を明記することで、PDCAの基準が明確になります。意識・行動変容指標KGIに至るまでの中間的な成果を測るのが、意識・行動変容指標です。たとえば、運動習慣のある従業員の比率や睡眠の質が改善した従業員の割合などが該当します。施策の実施によって従業員の意識や行動が実際に変わっているかどうかを把握する層であり、KGIが改善しない場合の原因分析にも活用できます。取組状況指標意識・行動変容を生み出すための施策が適切に実行されているかを測るのが、取組状況指標(アウトプット指標)です。「健康セミナーの開催回数・参加率」「ストレスチェックの実施率」「特定保健指導の利用率」「ウォーキングイベントへの参加率」などが該当し、施策の実施状況そのものを可視化します。この層の数値が低ければ、意識変容層の改善も見込めないため、施策の設計や周知方法の見直しの起点になります。健康投資戦略マップの最下層に位置するのが、具体的な健康施策への投資です。運動促進・メンタルヘルス対策・禁煙支援・食生活改善・健康診断の充実・外部サービスの導入など、自社の健康課題に対応した施策を記載します。施策と上位の指標との因果関係を意識しながら整理することで、施策に取り組むべき根拠が担当者以外にも伝わりやすくなります。健康経営戦略マップを作成するメリット健康経営の取り組みを「施策の実施」で終わらせず、経営判断の俎上に乗せるためのツールとして、戦略マップには実務上の明確な利点があります。まず、経営課題と健康施策の因果関係を可視化することで、施策の優先順位が立てやすくなります。「何のためにこの施策を行うのか」を図式化しておくと、予算確保の際に経営層への説明材料として機能し、担当者単独では動かしにくい意思決定を後押しします。また、健康経営優良法人の認定申請において、戦略マップは評価される要素として直接機能します。形だけの整備ではなく、自社の健康課題と施策のつながりが整合的に描かれているかどうかが問われるため、作成プロセスそのものが健康経営の質を高める機会にもなるでしょう。健康経営戦略マップを作成する流れ解決したい経営課題を特定するまず、自社の中長期的な経営方針や事業戦略を踏まえ、健康経営を通じて解決したい経営課題を特定します。たとえば、離職率の高さや採用競争力の低下など、複数の候補がある場合は、優先度の高いものから絞り込みます。経営層との対話を通じて課題を言語化することが、戦略マップ全体の精度を左右する出発点です。最終目標指標(KGI)を設定する特定した経営課題に対応する形で、健康面での最終目標をKGIとして設定します。KGIは測定可能な形で、具体的な数値目標と達成年度を定めることが重要です。プレゼンティズムやアブセンティズム、ワーク・エンゲージメントスコアなど、自社で計測できる指標を選ぶことがポイントです。まだ計測の仕組みが整っていない場合は、KGI設定と同時に測定方法の設計も行います。従業員の健康課題を分析する定期健康診断の結果・ストレスチェックのデータ・エンゲージメントサーベイ・欠勤・休職の状況などを分析し、自社従業員の健康課題を把握します。全社データだけでなく、部署別・年代別・職種別に分けて確認することで、リスクが集中している層や領域を特定しやすくなります。データに基づいた課題の特定が、施策の優先順位づけと因果関係の整理に欠かせません。意識・行動変容指標と取組状況指標を設定するKGIから逆算する形で、従業員の意識・行動変容指標と施策の取組状況指標を設計します。「KGIを達成するためにどんな行動変容が必要か」「その変容を生み出すためにどんな施策が必要か」という順序で考えると、指標と施策のつながりが論理的に整理されます。既存の施策がある場合は、その施策がどの指標の改善に貢献するかを紐づけながら整理していきましょう。具体的な健康投資(施策)を計画に落とし込む上位の指標と整合する形で、具体的な施策を選定し、実施計画として落とし込みます。各施策に担当部門・実施時期・予算・効果検証の方法を紐づけておくと、実際に運用できる計画書として機能します。外部サービスや専門家の活用も含めて、担当者のリソースと実現可能性を考慮しながら計画を立てることが重要です。健康経営戦略マップの作成事例【機械】ナブテスコ株式会社ナブテスコは、定期健康診断の分析結果から中性脂肪・悪玉コレステロール・血圧の有所見率が高く、喫煙率も全国平均を上回るという自社固有の健康課題を起点に戦略マップを設計しています。KGIにはアブセンティズムの低減、プレゼンティズムの低減、ワーク・エンゲージメントの向上を設定し、有所見者率・高ストレス率・喫煙率それぞれの前年比改善目標を取組状況指標として定量化しています。健康保険組合との連携による腎症重症化プログラムや卒煙プログラムなど、課題に対応した施策を因果の流れに沿って配置しており、戦略マップが実際の施策設計の根拠として機能している好例です。【食品】カゴメ株式会社カゴメは2017年に「カゴメ健康経営宣言」と「カゴメ健康7ヶ条」を制定し、独自の健康行動指針を軸に戦略マップを構築しています。全国拠点への公平な展開を前提とした施策設計が特徴で、健保組合との連携による独自健診・歯科健診・人間ドック奨励、ウォーキングキャンペーンといった施策を体系的に整理しています。2017年から発刊する「カゴメ健康レポート」によって従業員の健康状態を毎年可視化・共有する仕組みを持ち、PDCAの継続に戦略マップを活用している点が参考になります。【商社】丸紅株式会社丸紅の戦略マップは、適正体重維持者率・高ストレス者比率・プレゼンティズム(パフォーマンス発揮度)・エンゲージメントスコアを複数のKGIとして設定し、目標達成年度を2027〜2028年に設定しています。「丸紅健康力向上プロジェクト」を推進の核に据え、感染症対策・女性活躍推進行動計画と健康経営施策をひとつのマップに統合している点が特徴です。衛生委員会を通じた月次の進捗管理と戦略マップの定期的な更新を組み合わせ、計画と運用が一体的に回る体制を構築しています。健康経営戦略マップの作成・活用で押さえるべきポイント経営課題と健康施策の因果関係を明確にする戦略マップを形骸化させる最大の原因は、経営課題と施策の間に論理的なつながりがないまま、施策の一覧表として作成されてしまうことです。各施策がどのようにKGI改善につながるのかを意識しながら設計することで、マップ全体の説得力が高まります。因果関係が曖昧な施策は、優先順位を下げるか、つながりを整理し直してから組み込むとよいでしょう。定量的に測定可能なKPIを設定する戦略マップで定めた指標を測定する仕組みが不十分な状態では、効果検証もPDCAも機能しません。KGIとKPIを設定する段階において、それぞれの計測方法・データの取得元・計測頻度をセットで決めておくことが重要です。現状では測定できていない指標がある場合は、ツールの導入や調査の設計を戦略マップと並行して進めることを検討しましょう。社内関係者を巻き込み合意形成を進める戦略マップは、担当部署や担当者が単独で作成するのではなく、経営層・人事部門・産業医・健康保険組合などの関係者と協議しながら作成することで、実行フェーズでの推進力が生まれます。関係者が策定プロセスに関与することで、施策の担当者が明確になり、縦割り構造を超えた連携が生まれやすくなります。完成後も年度更新のタイミングに関係者を集めてレビューする場を設けることが、形骸化を防ぐ継続的な対策になります。実行データを継続的に収集・分析する戦略マップは作成後の運用が最も重要です。設定した取組状況指標・意識行動変容指標・KGIのデータを定点観測し、施策の効果を定期的に検証することで、改善サイクルが回り始めます。データが手元に揃っていない状態では、何が機能しているかの判断ができません。利用率や参加率などの数値をリアルタイムで把握できる仕組みを整えることが、戦略マップを「生きた文書」として機能させる条件です。YuLifeアプリで健康経営を実現できる理由YuLifeアプリは、身体的な健康を中心に、精神的な充実や社会的なつながりをバランスよく高め、ウェルビーイング経営を実現できるアプリです。こうした施策をゼロから自社で設計・運用するのは、特に中小企業にとっては大きな負担になりがちです。YuLifeアプリでは、健康経営やウェルビーイング経営の考え方を、現場で実行しやすい形に落とし込んでおり、どのような企業でも導入効果を得やすい設計となっています。以下では、YuLifeアプリで健康経営を実現できる理由について解説します。ゲーム感覚で健康習慣を促せるYuLifeアプリでは、歩行や運動といった日常の健康行動がポイント化され、ゲーム感覚で楽しみながら継続できる仕組みが設けられています。健康施策を「やらされるもの」ではなく、「自然と続けたくなるもの」に変えられる点が特徴です。トヨタや味の素などの事例で見られるような、行動変容を促す仕組みをより手軽に導入できる形といえます。ギフトによりコミュニケーションのきっかけが生まれるYuLifeアプリでは、アプリ内で獲得したポイントやリワードを通じて、特典を獲得できる仕組みがあります。ポイントは従業員どうしで送りあうこともでき、日々の業務の中で小さな感謝を伝える方法としても機能します。ポジティブな感情を伝えることは、コミュニケーションのきっかけになるとともに、仕事へのやりがいを高める要素にもなるでしょう。クーポン・特典でプライベートの充実につながる獲得したポイントは、さまざまなクーポンや特典と交換でき、業務外の時間の充実にもつながります。プライベートの満足度が高まることは、結果として仕事へのモチベーションやエンゲージメント向上にも好影響を与えます。仕事・プライベートを横断して支援できる点は、YuLifeアプリならではの強みです。健康経営ならYuLifeアプリYuLifeアプリは、日々の歩行や運動といった健康行動をアプリ上で可視化し、ポイントやリワードにつなげる仕組みが特徴です。従業員はアプリをインストールするだけで手軽に利用できるため、健康経営の取り組みを現場レベルで定着させやすくなります。また、健康促進を軸にしながらも、従業員一人ひとりがメリットを実感できる設計になっている点も強みです。健康意識の向上にとどまらず、行動変容を促す仕組みによって、エンゲージメントや生産性向上にもつながります。健康経営の推進や、健康施策の実効性に課題を感じている企業担当者の方は、「使われる健康経営」を実現する手段として、YuLifeアプリの導入をぜひご検討ください。まずは下記より、お気軽にお問い合わせください。YuLifeのサービス概要はこちらYuLife導入事例集はこちら